ブランド紹介
KUSU HANDMADE
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「優しい」ということは、強いことでも弱いことでもなく
「優れている」ということ。古来、独特の自然香で人々を守り、
癒してくれるクスノキは、暮らしに優しい木です。 KUSU HANDMADEは九州生まれの楠(くすのき)を もっと暮らしの中へ届けるために誕生しました。 クスノキが持つ天然成分100%の防虫・消臭の力や、 安らぎの香りを是非味わってみてください。 |
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KUSU HANDMADE 取材記
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古くから「虫除けの木」として知られている楠(クスノキ)。九州など暖かい地域に自生する香木です。枝や葉から抽出された天然の「カンフル(樟脳)」は防虫や消臭の効果、リラックス効果があり、古くから防虫剤や医薬品などに使われてきました。 今回は、そんな楠の特長を生かした製品をつくるアロマ雑貨ブランド「KUSU HANDMADE(クスハンドメイド)」を展開する株式会社中村にお邪魔しました。 九州産の楠を使った暮らしに優しい製品を数々と生み出している「KUSU HANDMADE」の誕生秘話やブランドの想いを紹介します。 訪れたのは佐賀県神埼市。会社に到着して車を降りると、屋外にも関わらず心地の良い爽やかな木の香りが漂ってきました。 取材に応えてくれたのは、代表取締役社長の中村光予子さんです。 代々受け継がれた楠で健康をつくる そもそもなぜ楠を使った製品をつくるようになったのでしょうか。歴史は中村さんの曽祖父までさかのぼります。 中村さんの曽祖父は約70年前、家具の街として知られる福岡県大川市で木材を切り出す木挽き(こびき)をしていました。「当時は、婚礼家具として楠を使ったタンスが主流だったため、ひいおじいちゃんはクスの原木を中心に切って販売していました」(中村さん)。 1974年に法人化し、時代とともに事業内容は変化しつつも一貫して楠を扱い、中村さんの父親の代からは建材を製造販売するようになりました。 ちょうど父親が建材を扱うようになった約30年前は、建築業界で木の建材から安くて施工が簡単な建材が流通するようになった時期。化学物質の影響で「シックハウス症候群」が流行していました。“健康オタク”という中村さんの父親は「建材で家も人も健康になれる。住まいから健康でなければならない」という思いから「全て天然素材を使ってお家づくりをする」というコンセプトで建材の製造販売を始めたそうです。 「でも、実は楠は建材に向いていないんです」と中村さん。油分が多く水に強いという強みがある一方、山の中に自生することが多い楠は真っ直ぐ育たずぐねぐねと曲がりながら成長する特性があり、使える範囲がものすごく少ないそうです。そのため、たくさんの端材が出てしまうという問題がありました。 さらに、建材としてよく使われる杉や檜と違って、曲がったり割れたりするのを防止するために人工乾燥ではなく天然乾燥をする必要があり、材料を入手しても乾燥に3-4年ほど時間がかかってしまうのです。そうなるとコストも高くかかります。 そこで端材をうまく活用できないか考えていた時、父親の知り合いから防虫剤にしてはどうかというヒントを得て、後のブランドの代表商品となるエコブロックが誕生しました。 エコブロックは切り落とされてしまう木の皮に近い耳の部分をブロックにして、天然の防虫剤や芳香剤として使うことができる商品です。香りが弱くなった時は楠から抽出されたカンフル(樟脳)オイルを塗って、繰り返し使うことができます。 初めは父親が商品開発を進めていましたが「なんせおじさんの感性で作るのでうまくいかず…」と笑う中村さん。いくらアイディアがよくても若い人には届かなかったそうです。そこで、助けを求められた中村さんと中村さんの妹が、当時していた別の仕事をしながらも商品の販売企画に携わるようになり「KUSU HANDMADE」というブランドが誕生しました。 ちょうどメディアでは「エコ」という言葉が取り上げられはじめた時期だったため、天然の端材を活用し繰り返し使えるエコブロックはまさに環境にも人にも優しい商品として注目され、人々の手に届くようになりました。 うちにしかできない自然を使ったものづくり 一見順調に見えますが、ブランドが立ち上がるまでには大変な苦労もあったようです。 そもそもエコブロックの「エコ」は、父親が商標をとっていた「絵鼓(えこ)」という和紙壁紙から名付けられました。和紙が呼吸をすることで壁から部屋の空気を綺麗にするという商品で、何億円もの開発費をかけて開発されたそうです。 「しかし、これが大失敗でして…」と中村さん。エコブームに乗った大手企業が後から同じような商品を販売したことで、少しでも安く手に入る大手に客が流れてしまいました。 そこで得た教訓が「大手に真似されるものを中小零細はつくってはいけない」ということ。「大手に大負けした経験から『うちが持っている楠の素材を使って誰にも真似されないものをつくろう』、そして『自然のもので人の役に立つ、繰り返し使えるものをつくろう』という思いがエコブロックの誕生につながりました」と中村さんは語ってくれました。 中村さんが社長になってからは、建材や住宅内装の事業を他社に譲渡し、現在は楠を使ったアロマ雑貨を中心に事業を展開しています。 最後まで無駄なく活用する 「KUSU HANDMADE」は九州産の楠を使った芳香や消臭グッズ以外に楠の効果を生かした掃除用品や洗濯用品、ハンガーなど生活に寄り添う商品を70種類ほど扱っています。材料となる九州産の楠は、伐採業者から捨てられるはずだったものを買い取っているため、商品のために木を切ることはありません。 樟脳とオイルは自社独自の機械で蒸留して抽出しています。環境と人に優しいことはもちろん、「身近に使えるもの」「自分たちが買いたいもの」などを基準に社内で話し合い、年に3つほど新商品を開発しています。 今年の2月には樟脳とオイルを抽出した後の楠チップを活用した炭の消臭アイテム「kususumi - 楠炭」が誕生。これまではスペースの問題から産業廃棄物として処理せざるを得なかった楠チップをどうにか全て活用できないか考え、独自の炭化装置を導入して100%再利用できるようになりました。 この商品は消臭剤として使った後は土壌改良剤として再利用することができます。炭化する際に木が吸収した二酸化炭素(CO2)を炭に閉じ込めるため、そこから二度とCO2が排出されない仕組みになっており、環境に貢献できる商品です。 バイオ炭と言われるもので、バイオ炭を農地に肥料として撒くことでCO2削減につながるため、中村さんは今後バイオ炭を農家に広め、温室効果ガスの削減目標がある企業などに削減した分のCO2をクレジットとして買い取ってもらう国のJクレジット制度に活用してもらうことを目指しているそうです。そのためにも「まずは多くの人に楠炭を知ってもらうところからです」と話していました。農家にも環境にも暮らしにも役立つ商品の可能性に胸が膨らみます。 樟脳がゼロから100になるまで ここからは、会社の敷地内にあるオリジナルの機械や作業風景を見学させてもらいました。 まずは「KUSU HANDMADE」の看板商品である樟脳とオイルを抽出する作業場です。作業場の扉が開くと、さらに強くて優しい樟脳の香りが体を包んでくれました。 「機械は一から自分たちで考えて、機械屋さんと一緒に作りました」と中村さん。もともと他社から樟脳を購入していましたが、12年前に自社の機械を取り入れました。製造の手順が確立するまでは検証の繰り返し。蒸留時間や温度など試行錯誤を重ねながら、やっとの思いでターゲットとする成分の抽出まで辿り着くことができたそうです。ブランドを立ち上げて以降「一番大変でした」と明かしてくれました。国内で樟脳を生産する企業は4軒のみだと言われていますが、今ではこの努力があったおかげで事業が成長し、安定した生産量を保つことができるようになりました。 中村さんが楠のチップを見せてくれました。このチップから樟脳とオイルが抽出されます。 チップはまず独自の機械で水蒸気蒸留します。そうすると蒸気に成分が出てくるため、それを冷やすことで、冷却装に水分と固形成分(樟脳)とオイルが三層になって溜まっていくそうです。通常蒸留する時には冷却装までの間に螺旋状の管をつないで蒸気を冷やすことが多いですが、「KUSU HANDMADE」では管に樟脳が詰まらないよう、管を冷却装まで真っ直ぐつなぎ、冷却装で一気に冷やしているそうです。 機械近くには樽に入ったカゴに真っ白な粉が溜まっていました。冷却装から取り出した水分と油分を絞る前の樟脳だそうです。樽の底には水分の上にオイルが浮いていました。樟脳は機械でプレスすることで純度100%の樟脳になります。プレスして出てきたオイルと水分は樽の底に溜まってものも含めて分離させ、オイルは製品にします。楠のチップから樟脳やオイルとして完成品になるまでは半月ほどかかるそうです。 純度100%になった樟脳は白くて固いかたまり状になっていましたが、指で少しほぐすとサラサラの粉になりました。抽出率は多くても1%、普段は0.5~1%弱のため3kgの樟脳をとるためには少なくとも300kg分の楠が必要だということになります。市場ではいろんな樟脳が流通していますが、「ここのは間違いなく楠100%の樟脳です」と話す中村さんからは商品に対する誇りが見えました。 炭化することで環境に貢献 蒸留した後のチップを炭にするまでの過程も案内してもらいました。 蒸留した後の楠チップは大体年間180トン出るそうですが、今までは半分を造園屋さんに販売し、残りの半分は産業廃棄物に出していました。しかし「やっぱりもったいなくって」と中村さん。場所を占領してしまうため仕方なく処分していましたが、炭にすることで100%リサイクルできるようになりました。 炭窯も機械屋さんと相談しながらオリジナルで作ったそうです。改良に改良を重ね、現在の形に辿りつきました。会社の周辺には住宅があるため、煙も匂いも外に出ないよう機械で処理しています。 炭にするためにはチップを溜めたバスケットを丸ごと入れて、ある程度燃え始めたら空気穴を閉じて低酸素状態で蒸し焼きにします。炭窯に入れて炭になるまでは約1日かかるそうです。空気の入れ方や火の回し方にコツがいるため、完全な炭にするのは意外と難しかったそうで、中村さんは「初めは簡単につくれるだろうと思っていたが全然簡単じゃないと嘆いていました」と笑いながら振り返ってくれました。いろんな炭の商品が出回る中で「基本的な炭の効果だけでなく、環境に寄与できるバイオ炭として差別化を図っていきたい」とのことです。 一つずつ手作業で 最後に「KUSU HANDMADE」が生まれたきっかけとなったエコブロックを包装している現場にお邪魔しました。ここではブロックの焼印や包装、オイルの充填をします。 従業員が一つずつ手作業でペーパークッションやオイルを木箱に詰めていっていました。商品は一般販売だけでなく、結婚式の引き出物や企業のノベルティなどにも活用されています。 特にブロックの刻印は状況に合わせてカスタマイズできるため、オリジナルの印でつくってもらうこともできます。実用的で特別感もあるため、もらったら嬉しい製品ですね! 曽祖父の代から受け継がれた楠の特徴を知り尽くし、時代を先取りしながらも原点である天然素材をフルに活用して人にも環境にも「優しい」商品をつくり続ける株式会社中村。 取材を一通り終え、中村さんからにじみ出る会社と商品への誇りがどこから来るのか感じることができました。 中村さん、株式会社中村のみなさま、長時間にわたる取材にご協力いただき、ありがとうございました! |
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KUSU HANDMADEの商品一覧
くすのきカンフルオイル
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くすのきエコブロック
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くすのきアロマディッシュ
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くすのき虫よけハーブスプレー
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くすのきカンフルパウダー(服を守る防虫剤)
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くすのきエアミスト
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楠炭ふりふり消臭剤 kususumi
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くすのきシャツハンガー
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くすのきジャケット/コートハンガー
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