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FLAME SENSE by Winged Wheel
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大正13年より大阪の八尾市でランプを作る「Winged Wheel」の新ブランド「FLAME SENSE」
日本のランプ製造メーカーが次々に廃業する中、「ランプの炎を絶やさないで欲しい」という先人たちの想いを受けてオールmade in Japanのランプを作り続けます。
歴史と伝統あるWinged Wheelのランプ作りのノウハウを生かした、機能性が高くデザイン性のあるランプをこれからも作り続けます。
FLAME SENSE by Winged Wheel取材記
「FLAME SENSE」とは、1924年(大正13年)創業のWINGED WHEELが、現代の生活スタイルにあったオイルランプを提案するブランドです。
ランプ職人の別所さんが、ランプ作りに携わってきて13年。今もそして未来にもランプの火を燈し続けるために、彼女はひたむきにランプ作りに向き合っています。
WINGED WHEELができるまで
1924年 WINGED WHEELの前身である「別所ランプ製作所」で別所さんの曽祖父が10年に及ぶ研究の末 日本で初めてハリケーンランプを完成させました。
太平洋戦争後の高度経済成長による電気の普及やそのほか様々な理由からだんだんとランプを作る会社は倒産していきました。
そんな中、別所ランプ製作所は日本製ランプ最後の生産者となりなんとか踏ん張るものの、2003年に倒産し、日本製ランプは絶滅するかと思われました。
「安全性で長けている日本製この日本の技術を途絶えさせるわけにはいかない。」
そんな思いで別所さんの母が4代目として、立ち上がりました。そんな思いで、祖父の時代から働いていた工場長、さらに数人のランプ職人ともう一度ランプを作り始めました。
そして2007年に「WINGED WHEEL」という新たな会社を設立したのです。
ランプ作りに大切なこと
2011年別所さんが20歳の時に、「WINGED WHEEL」に入社。入社当時は現場作業はしていませんでした。
しかし、そんな時に、ずっと工場を支えてきた人が突然亡くなってしまいました。貴重な作り手が1人、いなくなってしまったのです。
「もうあかんかもしれない。」
いつもなら後ろ向きなことは言わない母のこの呟き。
瞬時に「そんなこと言わんで、私がやるから。」と答えた別所さん。
それからというもの、工場長の後ろをついて回ってランプ作りを学びました。
「私がやらなければ、いつか途絶えてしまう。」ボタンの種類や作業の順番を見て、聞いて学び続けました。
ある程度見て回った別所さんは
「機械の操作方法は分かったしもうできるやろ。」と学んだことを実践してみました。
すると驚くほどの大失敗。同じ金型が4日連続で壊れてしまいました。
工場長に「なんでこうなるのかわからへん?」と聞いてみると、工場長は踊るように、身体と機械と金型が一体となって作業をしたそうです。
その姿を見て、別所さんは「あちゃあ…」と思いました。説明書があるだけでは、うまくいかないことを身をもって実感したのでした。
機械の声を聞いて、機械と共にランプを作っていくことが本当に大切なことだということに気づかされた瞬間でした。
研究を重ねた日々
「ちゃんと機械と向き合わなあかん。」と心を入れ替えて、工場長が亡くなるまでずっとついて回り、数字や理論だけではなく、感覚的なものも学びました。
機械は今までの職人たちのオリジナルの機械が多く、直すことができる技術を持つひとがいなくなっていく。
機械のことを分かってやれる人もどんどんいなくなってくる。部品もどんどんなくなっていって、作れる人もいなくなる。
このままでは、ランプがまたなくなってしまうのではないか。
そう思った別所さんは、生涯をかけて昔の原型を留めながら、誰でも扱うことのできる金型に変えていく研究を私の生涯をかけて行っていきたいという。
データを全て取って、金型から部品を一から研究して作る…
ずっとひたむきに400以上のパーツを分析し続け、機械と、金型と、ランプと向き合ってきました。
一枚の板から作り出されるパーツたち。どれか一つでも欠けていては製品は成り立たないのです。
そしてそのパーツは、指示書があるわけでもなく、ただひたすら受け継がれてきた金型や機械、パーツから手がかりを見つけ再現していくのです。
何度も何度も失敗を繰り返すものの、その失敗は決して無駄にはせず、一つの進歩だと受け止めて全て記録をします。
一度うまく行っても、次にうまくいくとは限らない。その時どんな条件が揃っていたのかを比較し続けて、少しずつ少しずつ前進していくのです。
そんな血と汗と涙がにじむ研究の成果は、パーツごとに全て残されています。
金型はもちろん、金型を抜いた歴代の型抜きカスまでも全て記録として残されているんです。
工場に残されたパーツたちを通して、今までランプに関わってこられた方々のランプに込める思いが伝わってきたような気がしました。
ランプができるまで
たくさんの思いを背負ったランプたちはどのような工程を経て誕生するのか。実際に工場を見せていただきました。
ランプは一枚の板からパーツが生まれます。
パーツだけでも400種類以上。一つ一つ丁寧にミリ単位まで設定された機械でパーツを作ります。
そして作り出したパーツをまた大きな機械でかしめます。「かしめる」とは、つなぎ目をしっかりと密着させる、といった意味のようです。
出来上がったパーツは、一つ一つしっかりと歪みなどがないように目で見て確認します。
形ができたら、オイル漏れがないか、火の形は綺麗か、全商品で確認作業が行われるそうです。
こうやって機械を使いながらも、人の手がかかせない工程ばかりのランプ作り。だからこそ の、安心安全で美しい炎の灯すランプが誕生するのではないでしょうか。
別所さんのエネルギーの源泉
ランプが好き、炎が綺麗とかは大前提で、幼少期からずっと職人や母親の背中を見てきた別所さんの記憶に染み付いている何か、理由を言葉にするのは難しい物が心の中にあると言います。
「心の中にある何かが、私を動かしています。」
ずっと昔からの経験の積み重ねで心に宿っている何かが別所さんを突き動かしているのですね。
ここまで、日本製ランプは何度も何度も絶滅の危機に迫られてきました。しかし、絶滅していない。きっと残るべくして残っているのではないかと思うんです。
「ランプの神様が見守ってくれているうちは、きっと大丈夫や」
別所さんの母はよく別所さんにそう言っているそうです。
まだ、すべての工程の研究が終わったわけではありません。
ランプの炎を未来でも灯し続けるために、伝統の技術と、ランプに生涯を捧げてきた職人たちの想いを背負いながら、機械と向き合う日々を一歩一歩じっくり進んでいきます。
「暗闇に炎があると人は自然に炎の周りに集い合い
恋人たちは炎の揺らめきが映った瞳に恋をする
家族は時々電気を消してらんぷの炎を見つめながら語り合えば良い
きっとその素敵な家族になれる」
別所さんの祖父の言葉、素敵な言葉ですね。
FLAME SENSE by Winged Wheel
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