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IKUTA KABAN / ランドセル工房生田
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「背負う」にこだわったかばんをつくりたい。 私たち生田は1950年に「かばんのまち」大阪市生野区でランドセルメーカーとして創業。本革にこだわり、非効率ながらもすべての工程を自社生産し、手作りによる作り手の顔が見えるランドセル作りを追求してきました。 そして、初めてランドセルを背負ったワクワクを思い出させるような、「背負う」にこだわったかばんを作りたい、その志のもとに立ち上げたのが『IKUTA KABAN』です。
IKUTA KABAN 取材記
今回の取材でお邪魔させていただいた株式会社生田は、ランドセルメーカーとして創業した老舗企業です。
「かばんのまち」として有名な大阪市生野区で長年培った技術を生かしたランドセル作りは、多くのファンから高い評価を受けています。
そんな株式会社生田が、これまで培ってきた技術と経験を存分に発揮した新たなかばん作りを始めました。それが大人の背負うかばん『IKUTA KABAN』です。
今回取材にご協力いただいたのは株式会社生田の代表取締役である長井さんです。
すごく丁寧にそして熱くご説明いただき、『IKUTA KABAN』への想いがすごく伝わってきました。
人気で手に入らない?!ランドセル
『IKUTA KABAN』を語るうえでは、1950年創業の歴史を誇る同社のランドセル作りのことが欠かせません。
同社が70年以上製造し続けているランドセルは『ランドセル工房生田』というブランドですでに強いブランド力を持っています。毎年早々に予約がいっぱいになるため、使用する来春を見込んで1年前からの予約が必要だと言われているほど。
生田ランドセルでは生野にある工房の向かいに常設の店舗を設けています。
長井さんによると「関西圏の方はご家族が揃って自家用車でいらっしゃるケースが多く、なかには航空機を利用して北海道から生野まで訪れてくださった方もいらっしゃいます」とのこと。
さらに全国各地で開催する展示会には「ランドセルをお探しで東京の会場にいらした方が、別の日に横浜の会場にもいらして念入りに確かめられていました」というほど熱心なファンの方もいるようです。
店舗併設の庭では、実際に外の光の当たる場所でのイメージを確認できるスペースがあり、ランドセル引き取り時の記念撮影会も行えるそうです。
では、どうしてこれほどまでに人気のランドセルブランドがあるにも関わらず、新たなかばん作りに挑戦したのしょうか。
変化するランドセル事情
ご存じの通り子どもの人口は減少傾向にあり、文部科学省のデータを参考にすると2020年度の小学1年生の人口は約100万人強。これは株式会社生田がランドセル作りを始めた当初の1955年当時の約250万人と比べると半分以下です。
当然のことながらランドセルの需要も子どもの人口に比例して減少しています。また、ランドセル以外のかばんを使用する小学生も増え、ランドセルの需要は徐々に減少。
「新一年生の人数が決まっていて、しかも毎年減っている現状では差別化を図っても売上を維持することは容易ではありません」と長井さん。
現状維持という守りの姿勢ではなく、同社が打ち出したのがランドセル以外の新商品の開発でした。
ランドセル作りと、カバン作り。
ランドセル以外の新たなブランド作りを目指した株式会社生田。新ブランド『IKUTA KABAN』のバックを開発するにあたってランドセル作りのノウハウやこだわりを踏襲。
流行に追随せず、上質な本革を使った生産にこだわり、他社が大量生産のため材料を変え、製造方法を変えた際もひとつひとつ職人による手作りで作り続けてきたスタイルは、そのまま『IKUTA KABAN』にも生かされています。
関わる人をワクワクさせる。
70年の歴史が息づいている『ランドセル工房生田』のランドセルは、物を入れて運ぶ単なるかばんではありません。
親御さんはランドセルを背負って健やかに成長するお子さんの姿に安心します。お子さんはランドセルをラクに背負うことができ、小学校生活を想像してワクワクします。
「当社では、ランドセルに関わるすべての人の人生をワクワク楽しくさせるようなものづくりを目指しています」と長井さん。
このようなお考えの長井さんの元には、革加工を学びたいと志す若手職人が集まります。ランドセルの作り手として関わる職人やスタッフは、作ることそのものをワクワクしながらものづくりに励むことができるのです。
新ブランド『IKUTA KABAN』も『ランドセル工房生田』と同様に背負うワクワクを伝えるブランドということを大切にされています。
生野の店舗の向かいには工房があり常時見学することが可能なので、職人の技を確かめ納得して購入することができます。こうしたシステムを設けることからも、お客さまと作り手との出会いや触れ合いを重視している株式会社生田の真摯なモノづくりの姿勢が垣間見えました。
コンセプトは、「ストーリーをつなぐ」
「本当によい製品をお客さまに届けたい」という思いが詰まった株式会社生田のランドセル作り。この想いを原点にして生まれた『IKUTA KABAN』。
『ランドセル工房生田』で培ってきたランドセル作りの技とこだわりを受け継いだ、背負うかばん『IKUTA KABAN』。その技とこだわりとは何でしょうか。
『IKUTA KABAN』のコンセプトは、「ストーリーをつなぐ」。
小学1年生が初めてランドセルを背負ったときのようなワクワク感を抱くことができる大人のかばん。
飽きることのないシンプルで上品なデザイン、そして長く愛着を持って使うことのできる耐久性に優れた本革手作りのかばん。
単に便利さとファッション性を提供するだけのかばんではなく、人生同様長い時間をかけて少しづつかわっていく。そしていつのまにか大切なストーリーが込められた特別なかばん。
長く使える、スタンダードゆえに使い手のたくさんのストーリーが積み重ねられるかばんづくりに『IKUTA KABAN』ではこだわっています。
デザイナーとの融合
株式会社生田は、長年にわたり上質の本革ランドセルを作り続けてきました。「当社の職人はランドセル作りを通じて技術的かつ人間的に日々成長しています」という社長の長井さん。
そんな彼らが自分たちの力をさらに発揮したいという思いもくんで、長井さんは新ブランドの開発に取り組み始めたのでした。
基本的な考え方は「大人が背負うかばんを作る」「本革を使用する」「デザインはシンプルに」「耐久性を高める」ことですが、これらのこだわりは『ランドセル工房生田』のランドセル作りを踏襲したもの。
さらに、初めての試みとして新ブランド開発のために専属のデザイナーを迎え入れました。実は大企業ではない、ものづくり企業でデザイナーを入れるというのはめずらしいことなのです。
それまでは職人が自ら時代のニーズに合わせてデザインや改良を行ってきたので、こうした特別なポジションのスタッフを採用することにはやはり多少の不安もあったようです。
しかし、「実際に蓋を開けてみると杞憂だったようで、お互いに立場を受け入れてうまくやっています」と長井さん。モノづくりを楽しむという共通認識を持ったスタッフが一丸となって『IKUTA KABAN』作りに励んでいるようです。
カバンとランドセルの違い
新ブランド『IKUTA KABAN』も『ランドセル工房生田』のランドセル同様、流行にとらわれることなく、素材には本革を使い、手作りによる作り手の顔が見えるかばん作りを目指して開発を進めました。
製品アイテムはデザインの異なる「スクエアバック」「リュックバック」「フラップバック」の3種類。いずれも背負うかばんです。
開発にあたっては、ランドセル作りで培った技術が存分に生かされましたが、ランドセルとは構造がかなり異なるため、従来の工業用ミシンでは縫製できない部位があることが製作過程で判明しました。
そのような職人泣かせの作業もありましたが、職人とデザイナーが社内にいることがスムーズな改良を実現し、2020年9月には新ブランド『IKUTA KABAN』としてリリースすることができたそうです。
シンプルなカバンほど細部にこだわる
シンプルな構造のように見える「スクエアバッグ」ですが、職人にとっては意外に縫製がむずかしいそうです。でもシンプルだからこそ気が抜けない、手が抜けない。
また本革の特徴として繊維があるため、機械による自動縫製では表面にねじれが生じたりするため、微調整しながら手作業する必要があります。
さらに通常のミシンでは縫製できないような筒状の部位もあるため、ランドセル作りでは使用しないポストミシンと呼ばれる特殊なミシンを使わなければなりません。
このような一見非効率なことをしてでも、気に入ってもらえるデザインや機能を追求する株式会社生田のかばん作りのこだわり。
そんなこだわりから生まれたかばんには、シンプルながら心地よく、どこか優しく、あたたかさのようなものを感じます。
背負いやすさへのこだわり
「背負う」ことにこだわり開発された『IKUTA KABAN』にとって、背負いやすさは重要なファクターです。
「フラップバッグ」や「スクエアバッグ」では、かばん本体上部とベルトを繋ぐ接合部分でベルトの可動域を広げる工夫を施しています。
このような一手間を加えることで、背負いやすくなるだけでなく、かばんに無理な力が掛からないため変形を抑えることができ、耐久性の向上を図ることもできるのです。
スクエアバッグのベルトと本体を繋ぐ部分の工夫について説明する社長の長井さん。さりげないこだわりに驚きました。これも『ランドセル工房生田』で培った背負いやすさの技術のひとつです。
安心して長く使えるから愛される
本革製の『IKUTA KABAN』のかばんをいつまでも美しく、かつ使いやすさを維持するためには、やはりメンテナンスは必要です。
『IKUTA KABAN』の製品を購入された方にお手入れの仕方や保管方法などをレクチャーした冊子を添付しています。
また、万一キズや糸のほつれ、ファスナーや金具の不具合などが生じた場合には、専門の職人による修理にも応じているので安心です。
愛着のある『IKUTA KABAN』を長く使い続けて欲しいという、かばんメーカーの思いはこうしたサービスにも表れています。
長きにわたり愛されてきた『ランドセル工房生田』のランドセル作りで培ってきたかばん作りのこだわりは、『IKUTA KABAN』にもそのまま踏襲され、この新たなブランドの登場によりさらに大きな一歩を踏み出されたのだと思います。
長時間の取材に協力いただいた社長の長井さんと。
応援したくなるものづくり
「本当によい製品をお客さまに届けたい」という思いが詰まった株式会社生田のランドセル作り。この想いを原点にして生まれた『IKUTA KABAN』。
ランドセル需要の減少するなか現状維持ではなく、ランドセル製造元のかばんブランドへの新たなチャレンジはまだ始まったばかり。
『IKUTA KABAN』が生田ランドセル同様みなさまに知られるブランドになる日はそう遠くはないと思います。新ブランド『IKUTA KABAN』の想い、応援したくなります。
長時間にわたる取材にご協力いただきました長井さん、そして株式会社生田のみなさま、有難うございました!
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