ITO BINDERY

ITO BINDERY ブランド紹介


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断裁する、綴じる、整える
1938年江戸川区にて伊藤春夫がノート製本を手がける紙工所「白鳥堂」を創業。 その後、株式会社伊藤バインダリーと社名変更。
時代の移り変わりと共にカタログなど広告販促物を扱う製本会社。製本の技術を活かした上質なステーショナリー、機械だけでは完成しない特殊折りの加工など、「紙」を熟知した私たちが新たなスタイルをご提案します。




ITO BINDERY 取材記

紙のメモ帳を使っていますか?
メモ帳はデスクの上に置いてあって、書きたいときにすぐに書けるものがいい。できることなら、いつでも置いておきたくなるデザインで、書き心地も滑らかだと理想的ですね。

ITO BINDERY のメモ帳は、上質な用紙を使って丁寧に作られた自信作です。町の製本会社とデザイナーが共同で製作し、今では世界中で使われるようになりました。

紙の価値をどうつけていくのかを追求し挑戦を重ねてこられたのは、株式会社伊藤バインダリーの社長・伊藤雅樹さんです。

伊藤社長に、オリジナルブランドの歩みや紙への想いについて伺いました。


伊藤バインダリーは歴史ある製本会社
伊藤バインダリーのはじまりは1938年。東京都江戸川区にて「白島堂」を創業し、チラシの断裁や大学ノートの製造をしていたんだそうです。高度経済成長の流れとともに、企業のカタログやパンフレットの量産体制を図ってきました。お客さんの多くは地域の印刷会社です。

1982年に「株式会社伊藤バインダリー」へと社名を変更して、現在は墨田区で企業の広告販促物や事務用品、文房具などを手掛けています。昔ながらの機械を使って、職人さんたちが丁寧なものづくりをされている姿を見せていただきました。

以前は車を買うときにはカタログをもらうものでしたが、時代は変わって今ではパソコンやスマートフォンで何でも見られるし、見積もりだって紙が使われなくなってきました。

伊藤バインダリーは、時代の変化とともにかたちを変えながら歩んできた製本会社です。
「企業向けの商売をしてきたなかで、紙のシェアが少なくなっていることを危惧していました。受注生産は自分たちではコントロールできないものなのでね。企業向けだけではなく、直接お客様に手渡しするものが欲しいと思ったのが、オリジナルブランドを作ろうとしたきっかけです」と伊藤社長。

世の中の変化を感じ取って製本会社としてできることを考え、動き出すことになりました。

これは10年以上も前のこと。今でもB to Cの商売をする製本会社は少ないといわれますので、伊藤社長のスピード感とフットワークの軽さを頼もしく感じます。


挑戦を重ねながらオリジナルブランドが誕生
印刷会社を通して企業向けに商売をしていたなかで受注産業だけでは弱いと感じて、2008年頃にオリジナルブランドを作ることに。
墨田区ではスカイツリーの建設が始まる時期。墨田区で町工場とデザイナーがマッチングをして商品開発をするというプロジェクトがあり、手を挙げました。

そこでデザイナーさんと出会い、一緒にブランドづくりが始まります。
「長年の技術で職人たちは商品を作れるけど、デザインのプロではないので自信をもって進められない。早く儲けたい、早く人気を出したいという気持ちでいると、作りやすい方向に進んでしまう。それではお客様に届かないので、ブレないようにしました」と伊藤社長。

売り手にとって都合の良い商品って、使う人にとってはときに有り難いものではなかったりします。職人さんとデザイナーさんの目線で、じっくりと商品開発をする姿勢が守られることが大切なんだと思います。

デザイナーさんとともに、何をどうしたら良いのか突き詰めたんだそうです。工場を見学してもらって、「きちんとしたメモ帳」を作ることになりました。
印刷は一切なし、紙と製本技術だけで丁寧につくるメモ帳です。

クリエイターさん向けの道具として、質が良くデザインにもこだわったオリジナルブランドが生まれました。


未知の領域にも飛び込むバイタリティ
それから、グッドデザイン賞に挑戦して受賞。
国内で毎年開催されるギフトショーにも出展すると、日本人だけではなく海外のお客様にも見てもらえ、手応えを感じたそうです。

日本の人は値段の話から入られることが多かったけど、海外の人はデザインの価値から入ってもらえたのが嬉しかったと。

海外の人に興味をもってもらったことがきっかけとなって、2012年からコロナが流行する前の2019年まで、フランスで開催されるメゾン・エ・オブジェにも毎年出展しました。
「海外の展示会に毎年出展するって大変なことですよね!」と驚きました。
「大変ですね。コストもかかりますし、準備も大変です。半年前からデザインに入って、2ヶ月前から施工に入っています」と伊藤社長。

海外の展示会でお客さんとお話しするときには、運賃などもスムーズに伝える必要があるんだそうです。
展示会に出展するまで海外との取引がない状況でしたが、通常の業務をしながら展示会へ毎年出展。試行錯誤を重ねてこられた伊藤社長の熱心さが、世界で使われるブランドにつながったのだと分かります。

「どこの国でも同じ人が使ってくれています。都市に住んでいる人で、建築事務所だったりデザインオフィスだったりで働くクリエイターさんが多いです。パソコンが主流になったとはいえ、クリエイターさんは打ち込む前に書くんですよね」

オリジナルブランドが始まって10年。挑戦を続ける中でつながりが増え、ようやくいろんなことが分かってきたんだそうです。今ではヨーロッパをメインに、アメリカや中東などのお客さんとも取引されています。

海外への出展や展開は様々な壁があり、二の足を踏む方が多いのは事実。海外の展示会出展は費用はものすごくかかるのですが、結果を得れるかは当然出てみないとわからない。準備も当然時間もたくさんかかります。

伊藤社長のバイタリティには驚くことはもちろんですが、商品が国境を超えてクリエイターに受け入れられる、言葉を超えた商品の力を感じますね。


伊藤バインダリーの丁寧な商品づくり
伊藤バインダリーのメモ帳は国内外で使われていて、今では海外のお客さんのほうが多いんだとか。
どうしてなのか伺うと、「日本の紙が良いというのがやっぱりありますね。均一性があって、品質が安定していますので。海外の紙と大きく差があると思いますよ」と伊藤社長。

伊藤バインダリーのメモ帳は表紙がなく、すぐに仕事にとりかかれるデザイン。メモ用紙はキメが細かく均一性があるので、書き味もなめらかです。側面の手触りが滑らかで、色も均一なメモブロック。


お洒落なだけではない、きちんとしたメモ帳だとわかります。ドローイングパットは製本技術によって出来上がった、こだわりのメモパッド。

綴じ部分にはマイクロミシン加工が施されていて、サイドに引っ張ると用紙を切り取ることができます。切りはなすと定形サイズになる仕様もうれしいポイントです。

細かい切り取り線は、このような刃でつけられていました。

メモブロックには厚い台紙があるため、安定感があって書きごこちもなめらか。 ロゴやキャラクターでごまかさないシンプルなデザインが特徴です。インテリア性があって、置いておくと気分が上がり、人に見せたくなりそうですね。

町の製本会社として培った技術にデザインを掛け合わせることで、世界から求められるものへ。長い期間をかけてブランドを育ててきました。


機械だけに頼らず人の手も使って
伊藤バインダリーの会社を見せてもらうと、機械だけで作っていないことがわかります。
昔ながらの機械の前には職人さんの姿が。

側面に凹凸ができないよう、丁寧に裁断されています。

職人さんが手を添えながら、2段階で行います。

ノートの台紙には「ITO BINDERY」という文字を彫刻で空押しされています。 職人さんたちが、この機械を使って手動で一枚ずつ押しておられました。

どこか懐かしさを感じられる素敵な光景でした。

ITO BINDERYのメモ帳はすべて、文字彫刻が裏面にあるんです。
「使う人はロゴなどは見たくないんですよね。ただ書くことに集中できるように、罫線も入れていません」と伊藤社長。

自社ブランドとなると、ブランドロゴを出したくなるものです。ですが、ここでも目先を追わずに、急がず、使い手のことを想像できる、一見伊藤社長のバイタリティと相反するような、冷静さのバランスが素晴らしいと思います。クリエイターにファンが多いことも納得ですね。

デザインが好きな人に多く使ってもらっているので、シンプルだけど優れたものであることが好まれているんだそうです。
パッケージも、手を添えながら一冊ずつ丁寧に。

もともとは、ビニールのパッケージを使っていましたが、2年前から全て紙にしたんだそうです。理由は環境問題からとのこと。

当然パッケージはコストで考えるとビニールの方が安価で、作業も楽です。こういった部分で大切にしているものの優先順位が明確でブレなく気持ちいほどです。

感度の高いクリエイターの方々は特に、時代の変化を見ています。こうした部分でも柔軟性とスピード感はユーザーとの相性がいいのですね。


紙の価値を残していくということ
伊藤社長に今後の目標を伺うと、「まだまだ世界中の人には知られていないんですよね。国内でも知らない人が多い。普通に使ってもらいたいですね」と。

「新しいラインを増やしていくというより、じっくりと今ある商品を丁寧に作り続けることですね。シンプルなんですけど難しいんです。コロナの影響もあって紙が廃盤になる動きが増えていて。紙のメーカーがいろんな紙を作っていましたが、需要が小さくなると売れないので廃盤にしてしまいます。難しいところがありますね。どう価値をつけていくか、どう工夫するかです」

時間をかけてブランドを育て、今では自社ブランドが売上の柱になっているという伊藤バインダリー。これをきっかけに知り合うお客さんが多く、企業さんとの取引も広がっているんだそうです。

「印刷業界にとって難しい時代に、どう取り組むかですよね。情報がWEBサイトに集約されるようになって紙の需要が小さくなっても、良いものは必ず残っていくと思うので、価値をもたせないといけません。」と伊藤社長。

良質な紙で丁寧に作られたメモ帳が世界で使われ、残されていくってほんとうにあるべきだと感じます。

「気持ちよく仕事にとりかかってもらって、そこで新しいものが生まれたらいいですね。グラフィックデザイナーやプロダクトデザイナーだけでなく、会議資料などでも使ってもらっています。ドローイングパッドに書きがながら進めると意見が弾むんだと聞くことがあって、そういうのが嬉しいですね」と笑顔で語ってくださいました。

伊藤社長のこんなお話を聞いてワクワクしました。自然に使ってみたくなります。

お仕事用のほかではホテルの客室に置いてもらうこともあるそう。素敵なメモ帳があるとやっぱり嬉しいですよね。こうしてメモ帳の価値が伝わっているんです。

きれいなメモ帳が机の上にあると、気分が良くなる。書くことに集中できる無地のメモ帳があると、心地よく仕事にとりかかることができ、新しい価値を生む。

そんな気が利くメモ帳が、伊藤社長やデザイナーさん、職人さんたちによって作られ守られる姿を見せてもらいました。

“紙”と一括りにしがちですが、そこには良い紙とそうでない紙もある。もちろん感じ方はそれぞれです。でもこれからの時代、自分が使うものを、自分の意志で選ぶという姿勢が大事なのではないでしょうか。それを時代の先を見ているクリエイターはすでに実践しているのかもしれません。

伊藤社長、取材にご協力いただきありがとうございました。
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