Blanc Pa(ブランパ)/大館工芸社

Broom Craft 曲げわっぱの材料の杉の外側の白い部分「シラタ」が使われず、残ってしまっていることに気づき、限りある資源である杉を余すことなく、どうにか生かしたいと試行錯誤を続けた結果、完成したのが大館工芸社のBlanc Pa(ブランパ) Blancは、フランス語で「白」を意味します。 「シラタ」への思いを「白」というブランド名に込めました。


Blanc Pa(ブランパ)/大館工芸社 取材記


木の温もりが漂うシンプルな曲線に、自然が織りなした木目がやさしく映える「曲げわっぱ」。最近は、弁当箱などを見かけることが増えましたが、実は1000年以上もの歴史をもつ日本の伝統的な工芸品です。
職人が杉の木の板から手作業で作り出す秋田県大館市の「大館曲げわっぱ」は、日本各地の曲物の中で唯一、国の伝統的工芸品に指定されています。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
今回は、そんな大館市で65年間「曲げわっぱ」を作り続けてきた「大館工芸社」さんにお邪魔しました。

伝統を守りつつ、限られた資源を最大限活用しようと革新的な商品を届ける新しいブランド「Blanc Pa(ブランパ)」を立ち上げた想いも紹介します。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
代表取締役の戸嶋さんにお話を伺いました。


移り変わる時代の中で求められる製品
元々は、雪国の子どもたちをイメージした三角のこけしのような民芸品や、灯篭などを作っていたという大館工芸社。紆余曲折を経て、昭和30年代から「曲げわっぱ」を作るようになりました。
地域で分業して作る会社が多い中、大館工芸社は独立して、全ての工程を自社の職人で担っています。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
初めはお盆や茶筒から作り始め、次第に客の要望に応えようと弁当箱や器なども作り始めました。
見た目の美しさはもちろん、調湿効果もある「曲げわっぱ」は、時代がプラスチックに移り変わっても、「機能と見た目、両方で求められるようになってきた」と戸嶋さん。特に毎日のように使われる弁当箱は現在、大館工芸社の代表商品になりました。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社


伝統と革新
一般的に「曲物」と呼ばれる「曲げわっぱ」。地域によって呼び方は違いますが、平安時代(794〜1180年)にはすでに日本各地にあったとも言われています。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
戸嶋さんが、大館市で見つかった推定100年〜150年前の弁当箱のレプリカを見せてくれました。基本的な形や作り方はほとんど一緒だということに驚きです。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
大館工芸社は創業以来、秋田県の高齢杉を使って伝統的な技法で製品を作り続けてきました。
通常は丸太の中心の芯と、年輪の外側の白く若い部分のシラタ(白身)をのぞいた内側の赤い部分(赤身)だけを使って、一枚の板から作られる「曲げわっぱ」。しかし、それでは貴重な高齢樹材の約半分を捨ててしまうことになっていたそうです。

大館工芸社では樹齢100年から120年の杉を仕入れて製品を作っているため、「せっかくここまで育ったのに無駄にしてしまっている」という問題意識を長年もっていました。

そこで、今まで業界では「悪くなりやすい」として使われてこなかったシラタを生かした商品を生み出しました。それらを届けるために立ち上げたのが、新しいブランド「Blanc Pa(ブランパ)」です。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
均一的であることを理想とし、シラタを使うことや個性的なデザインはタブーとされてきた伝統的な「曲げわっぱ」に対して、「Blanc Pa」では、土壌によって丸太の色が違うといった自然の個性を「ポジティブに捉え」、シラタも使った商品作りを進めています。

今までは、材料の入手の難しさから「(曲げわっぱは)マーケットとしてそんなに大きく広がりようがなかった」という戸嶋さん。
しかし、シラタを含めた個性的な素材もそのまま使うことで、近年入手しづらくなっている高齢杉のロスを減らし、作れる商品の数が増えました。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
新しいブランドでも、木材の伝統的な曲げ方や職人は変わりません。むしろ、これまで避けられてきた部分を使うことにより、加工の難易度は上がったそうです。常識破りな取り組みに、戸嶋さんは「チャレンジです」と語っていました。

伝統を守りながらも挑戦を続ける大館工芸社ですが、従来の「曲げわっぱ」でも、新しいブランドでも共通する想いは「いいものを長く使ってもらいたい」ということでした。
そのため、どちらの商品も「リペア(修理)に力を入れている」と戸嶋さん。汚れや傷、欠けなど、できる限りリペアの対応を受け付けています。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社

ところで、「Blanc Pa」の由来はなんでしょう。
「Blanc(ブラン)はフランス語の「白」、Pa(パ)は「曲げわっぱ」の「ぱ」で、二つを合わせた造語」(戸嶋さん)だそうです。
ブランドは地元のデザイナーと手を組んで作り上げています。ここにも、大館工芸社の地元へのこだわりが見えました。

新しいブランドでは、若者や男性などターゲット層も広がっています。新しい商品の構想がどんどん練られているという「Blanc Pa」。ますます目が離せません。


杉へのこだわり
日本各地の工芸では、少子高齢化などによる後継者不足が問題になっていますが、戸嶋さんはこの業界の1番の課題を「材料の確保」だと語ります。杉の木は日本で多く植林されているのに、なぜでしょうか。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
大館工芸社は創業当時から秋田県の杉の木にこだわってきました。なぜなら、日照時間や天候によって、年輪の幅が変わるためです。
生産量が全国一の宮崎県の杉の木は日に当たる時間が長く、秋田県の杉の木と比べて成長スピードが2倍ほど違うようですが、成長が早い分、年輪が広くなります。それに対して、「秋田、東北では厳しい寒さが続き、晴れる日が少ないことによって木の成長が遅く、(年輪が)ぎゅっとつまります」(戸嶋さん)。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
「曲げわっぱ」に映える、細かく美しい木目は秋田県の杉の木ならではのものだったのですね。

確かに、その中で樹齢100年から120年ほどの木となると、かなり限られます。もう少し樹齢が若い木は使わないのでしょうか。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
「曲げわっぱ」は丸太を縦に切った木の板から作りますが、丸太が太ければ太いほど幅の広い木材が取れるため、高さのある「曲げわっぱ」の製品を作ることができるそうです。
戸嶋さんは木材を示しながら、樹齢80年の杉でさえも「十分な高さが取れない」と教えてくれました。

長い年月がかかった自然の結晶に、職人の手の技が加わるからこそ、価値があるのだと感じました。


全ての工程を手作業で
ここからは曲げわっぱが製造されている工場にお邪魔してみましょう。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
工場に足を踏み入れると、木材を機械で切る音が響いてきました。普段は30人ほどで役割分担しながら作業しているそうです。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
湯気がたちのぼるエリアに近づくと、何枚にも重なる木材が、お風呂に入るようにお湯に浸かっていました。“湯船”の下では火が焚かれ、なかなかインパクトのある光景です。
これは、木材を曲げやすくするために90度ぐらいのお湯に1、2時間程度つけておく工程だそうです。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
型と留め具が並んでいました。そして隣の台では、これらを使って固定された製作途中の弁当箱が並んでいました。
どのようにしてこの状態になるのでしょうか。実際に職人が曲げる場面を見せてもらいました。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
お湯から取り出したばかりの湯気を立てている板を難なく触り、丁寧に手で包み込むように型に沿わせ、留め具をはめていきます。板の熱さを感じさせない無駄のない動きは、まさに職人技でした。

また、曲げた部分を接着する場面も案内してもらいました。こちらは企業秘密のため撮影NGです。桜皮で留めるスタイルは江戸時代から変わらないそうです。濃い茶色がパッキリと映えて、デザイン性もありました。
こちらは、大館工芸社で「伝統工芸士」という資格をもつ5人のうちの1人が作業をしていました。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
その後、隙間がないよう底をはめ込み、丁寧に磨いて形を整えます。

仕上げはウレタン塗装です。
油物にも耐えられるよう塗っていきます。厚く塗りすぎても調湿効果の機能に蓋をしてしまい、薄すぎてもウレタンの効果が薄くなってしまうため、これも職人技です。網の目状に塗装して、除湿効果を保っているそうです。

一通り工程を見ましたが、実は板を曲げて形を作った後にかかる時間の方が長いことがわかりました。全てに共通することは、手作業でかなり手が込んだ作業であることです。
ブランパ 曲げわっぱ 大館工芸社
最後に商品が陳列されたスペースに戻ってきました。
床に使われている木材は、「曲げわっぱ」に使われなかった芯材。そして、製品が並ぶ台は樹齢250年の丸太。
解説を聞いた後だからか、上に並ぶ製品も含めて改めて見ると、長い年月を経てきた重みや、職人の変わらぬ技と想いがますます鮮明に伝わってきました。

戸嶋さん、大館工芸社のみなさま、長時間にわたる取材にご協力いただき、ありがとうございました!




Blanc Pa(ブランパ)の商品一覧


秋田杉の曲げわっぱ カップ ブランパ

秋田杉の曲げわっぱ カップ


秋田杉の曲げわっぱ カップ ブランパ

秋田杉の曲げわっぱ ディッシュ


秋田杉の曲げわっぱ カップ ブランパ

秋田杉の曲げわっぱ ボウル










  • - 配送料金のご案内 -
    合計10,000円(税込)以上のお買い物で全国送料無料です。
    10,000円未満のお買い物の場合は送料が550円~(地域による)が必要となります。
    詳細はご利用ガイドをご確認ください。
メルマガ


日本いいもの屋のSNS


お問い合わせ
電話・メール大歓迎です

表示:スマートフォン|PC

Copyright (C) 2019 MIIHIN Corporation All Rights Reserved.