『ガラ紡糸』

木玉毛織 がら紡糸


あるところに、センスがよくて、編み物がじょうずなおんなのこがいました。

おんなのこがいちばん興味があるのは、編み物に使う糸選びでした。

極彩色に染上げたウール、

ラプンツェルの髪のように艶やかなシルク、

蓮の繊維をこよりにして作った糸。

贅沢に作られた糸から出来た編み物はどれもおんなのこの宝物でしたので、

編み終えたものは大事にしまいこんで、使うなんてとんでもない。

いっぽうで、おんなのこに編み物を教えてくれたおばあちゃんは、

編んだらどんどん身に付けて、ときには解いて編み直しをしているようでした。

ある冬の夜。

寒さにふるえるおんなのこに、おばあちゃんが靴下を編んでくれました。

その靴下の暖かいこと。

大事に紡がれた糸から出来た編み物が暖かいということを、

おんなのこはようやく理解しました。

編みためていたたくさんの編み小物を、

おんなのこはたいせつな友達と家族に配って、

それからはたくさんの人を暖めたということです。





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木玉毛織
ガラ紡糸