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薗部産業



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日本のうつくしい木を使った日本の手仕事

機械も使いますが工場制手工業者として原木から仕上げまでを通し生産をすることで現実的にお求めいただける価格を維持しながら続けたいと切にのぞんでおります。

毎日の生活で心地よくお使いいただける質感のよいモノ作りをめざし、 元気を出してさまざまな木素材を皆さまにお届けできるよう励みます。
  






薗部産業 取材記



「無理なく、無駄なく、土に帰るまで。」

神奈川県小田原市にある薗部産業は1949年創業。分業が進む木工の世界で、材料の乾燥から仕上げの塗りまでを一貫して行っています。
温かみのあるシンプルなデザインとなめらかな手触りが魅力の「めいぼく椀」は、どのようにして作られているのでしょうか。


自然が支える品質
めいぼく椀は国産の木にこだわっているのが特徴ですが、同社では現在、海外産も含めて約30種類の木を扱っています。同じ木でも北海道産は「カエデ」、北米産は「メープル」など、国産と海外産の違いがわかるよう呼び方を変えているそうです。

小田原産のヒノキ

一般的に材料は、虫食いのあとや節が少ないほうが良いとされていますが、同社では、この風合いを自然のデザインと考えて生かしているとのこと。木を大切に想う気持ちが伝わってきます。

長野県産のナラ

乾燥の工程に入る前に行うのが、「荒木」と呼ばれる下処理。ブロックのまま乾燥すると5~10年かかりますが、荒木をすると木の中心までの距離が短くなるので、半年という短い期間で乾燥できるのだそう。

木に含まれる水分量を、乾燥の工程で最適な程度まで落とします。木が割れたり変形したりしてしまうのを防ぐのが目的です。
「水分量のコントロールを材料屋に任せず自分たちで行うのは、より品質の良いものを作りたいから」と話すのは、製造企画営業の薗部弘太郎さん。今まで木工品の水分量を意識したことがなかった私は、ここまでこだわっているということに頭が下がる思いがしました。

荒木をする機械

荒木が済むと、まずは屋根裏部屋で3ヶ月、太陽の熱を借りて自然乾燥します。

次は2週間~1ヶ月かけて、乾燥室で人工乾燥を行います。

乾燥室内は2段になっており、下の段にあるヒーターの温風が上段にある荒木に当たる仕組みになっています。

電気の力で行う人工乾燥ですが、6台ある乾燥室のうち2号機のみ、火力を使った燻煙乾燥をしているとのこと。
下段で燃やした木くずから出る油分(タール)が荒木をコーティングするので、水を吐き出すスピードが速い木でも割れずに乾燥できるのだそう。2号機内は、香ばしい燻製の香りが充満していました。


最後にもう一度、2~3ヶ月かけて自然乾燥をします。この時に最も大事なことは、自然の良い風を当てること。良い風とは、適度に水分を含む風だそうです。
その点、同社のすぐそばには酒匂川があり、乾燥場所の横は田んぼで遮るものがないので、荒木は常に良い風を浴びることができます。良い製品を作るには、自然の力が不可欠なのです。

技と自然の共同作業

乾燥が済むと、職人さんによる成形作業(木地挽き)に入ります。親方の作業を見学させていただきました。

気になったのは、親方の周りにあるたくさんの刃物道具。なぜこんなに必要なのかを伺うと、ひとつの製品を作るのに20本の道具を使うからなのだそう。製品ごとに使う刃物が異なるので、扱う製品が多い親方の道具はおのずと増えるのです。

鍛冶場

しかも職人さんは、自分の道具をすべて自分で作ります。1個削るごとに刃を研ぐので木はなめらかになりますが、刃はすぐにだめになってしまうため、職人さんは1ヶ月に1度、鍛冶場に入り道具を作り直すそうです。

リズムに乗って黙々と作業する親方の迫力はもちろん、道具が放つ存在感にも圧倒されました。

仕上げの塗りは、商品によって漆またはウレタン塗装を施します。めいぼく椀は木の風合いを生かすため、透明なウレタンを使っているそうです。

ウレタン塗装は4層になっており、3回塗って研いでから4回目を塗るとのこと。木地挽きの段階でもすべすべの手触りですが、工程が進むごとにどんどんなめらかになっていきます。

3回塗った後の椀

職人さんの熟練の技と自然の力の共同作業で、約8ヶ月かけて作り上げるめいぼく椀。1996年にグッドデザイン賞を受賞した、同社で1番人気のロングラン商品です。

丸みのあるシンプルなデザインは手になじみ持ちやすいだけでなく、みそ汁や洋風のスープを入れたりサラダを盛り付けたりと、使い勝手が良いのもうれしいポイントです。
実や花の色素が入った木の色は種類によって異なり、ブナは白、ケヤキは黄色、桜はピンクと緑がほんのり混ざった色になるのだそう。日本の森を感じながら、食卓を楽しむことができます。


商品からはじまるエコ
ところで、同社では廃棄する木を一切出さないのだそうです。

端材は炭にして、職人さんが刃物道具を作る時の燃料にします。炭が灰になったら畑の肥料として使うので、ごみにはなりません。

木くずは、静岡県御殿場市にあるフレンチレストラン「Maison KEI」でスモークする時のチップとして使われているほか、小田原市内の牧場にいる馬のベッドとしても活用されているのだそう。
薗部さんは、「木を循環させるのは以前からやっていたこと。まずは商品を気に入ってもらい、その先にエコがあることも知ってもらえたら」と話します。


「気軽に」からはじまるデザイン
小田原木工の歴史は長く、始まりは約1200年前。数百年前には、箱根山のケヤキを平地が多い小田原へ下ろして「仁取盆」を作りました。仁取盆は現在も、小田原の伝統的工芸品として親しまれています。
2019年にグッドデザイン賞を受賞した「仁取皿」は、仁取盆から着想を得て作られたもの。「料理を盛り付けることで完成する」と薗部さんが話す通り、どんな料理でもしっかりと受け止めてくれるデザインが魅力です。

薗部さんは、まず最初に料理本を見て、盛り付けるものをイメージしてからデザインをしているのだそう。「気軽に使ってほしい」「食卓を楽しんでほしい」という想いが、デザインの出発点なのです。


歓声が出る心地よさ
おすすめの新商品もご紹介いただきました。めいぼく椀の姉妹品である「マグボウル」は、椀の足の部分を取って持ち手を付けたことにより、さらに洋風な雰囲気になっています。
鳥のくちばしをイメージしたという持ち手に人差し指を入れると、小指が自然と椀の下にいくので、手のひら全体で包み込むように持つことができます。
実際に試してみたのですが、なめらかな手触りとフィット感があまりにも気持ち良く、思わず歓声を上げてしまうほどでした。

持ち手の強度にもこだわっており、引っかけて10kg、瞬間的な力で2kgまで耐えられます。木のうつわは陶器のように熱くならないので、小さなお子さんにも最適。桜とブナの2種類展開で、ブナはヨーロッパのビンテージをイメージして着色しているそうです。

単体で販売しているスタンドと豆皿を組み合わせて使う「アフタヌーンティーセット」。豆皿は3種類で、メープル、チェリー、ウォルナットがあります。
いつものティータイムが特別な時間になるだけでなく、アクセサリーなどの小物置きとして使うなど、いろいろな使い方ができるのも魅力です。


伝統をつくる、つなげるという挑戦。
今後の展望についてお伺いすると、「漆の新たな伝統を作っていきたい」と話してくださいました。というのも、小田原には現在、漆の職人さんが3人しかいないのだそうです。
その中のひとりが、同社で活躍する40代の女性。漆職人の最年少です。創業から約70年経った同社ですが、創業100年になった時に漆を塗っている会社でいるため、「彼女の弟子を作りたい」と薗部さんは熱く語ります。

漆の新たな世界観を見せることで古さや和のイメージをくつがえし、漆の可能性を広げたいと考えている薗部さんは現在、シノワズリ柄など世界の模様の焼き印が入ったヨーロピアン調の漆塗りプレートの製品化に取り組んでいます。
試作品を見せていただいたのですが、木目や色ムラの独特な味わいと、漆を塗って濃い色になった模様がとにかく素敵で、再び歓声を上げてしまいました。
シックな模様が入ったデザインは、シンプルさを追求した同社の製品とも一線を画しており、漆の商品を残したいという薗部さんの決意がひしひしと伝わってきました。

木工が盛んな小田原の地で、伝統を守りながらも新たな挑戦をつづける同社。薗部さんが熱く語ってくださるお話からは、製品へのこだわりだけでなく、木や森、自然への深い愛情が感じられました。

今回取材にご対応いただいたのは、社長の息子さんである、薗部弘太郎さん(兄、画像左)と薗部玄士朗さん(弟、画像右)。お兄さんの弘太郎さんは主にデザイン・企画・製造・営業を、弟の玄士朗さんは主に企画・商品管理・出荷・営業を担当されています。
こうしたものづくり分野の多くの会社では後継者不足が問題視されていますが、薗部産業さんではそういった心配な全くなさそうです。
「使って初めてわかる愉しさを感じてもらいたい」と薗部さん。「気軽に」という意味を含む「愉しい」という漢字を使うこともこだわりだそうです。
今回はいろいろなお話を聞かせてくださり、本当にありがとうございました。











薗部産業の商品一覧



めいぼく椀

めいぼく椀 小





めいぼく椀

めいぼく椀 中
 




めいぼく椀

めいぼく椀 大
 




マグボウル

マグボウル





仁取皿

仁取皿
 




カフェトレー

カフェトレー
 






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