ブランド紹介
ABE HOME SHOES / 阿部産業
|
※ページ下部へ進みます。 |
|
ABE HOME SHOESは「家に帰ったら、ゆったりとした時間を過ごしてほしい」との想いから、自社開発したオリジナル製品のファクトリーブランドです。 履き心地にこだわった質の高いホームシューズと、関連小物を展開しています。 |
|
ABE HOME SHOES / 阿部産業取材記
|
今回製造現場取材にお邪魔させていただいたのは山形県かほく町の阿部産業さん。 以前はOEMや下請けの仕事を中心としてされてきた阿部産業さん、今では自社ブランド・自社商品を様々な形で力強く発信されています。その中でも「帆布バブーシュ」などは大変な人気商品となり、阿部産業さんを支える商品ともなっているそうです。 日本には沢山のものづくり企業がありますが、作り手さん自身が阿部産業さんと同様に自社商品・自社ブランドを発信したいと考えたり、取り組まれている方も少なくないです。でもうまくいく作り手さんはほんの一部。 そんな中、阿部産業さんはどのようにして、ABE HOME SHOES立ち上げ・育て、そしてどのようにして魅力ある商品を生み出されてきたのか。 阿部産業の阿部社長と専務である奥様へのインタビュー、製造現場の取材から見えた、ものづくりへの想いと、ABE HOME SHOESにかけた想い、そしてブランド育てるポイントなどもお伝えしていければと思っています。 「かほくスリッパ」の歴史 阿部産業さんがある山形県河北町はスリッパの生産全国一を誇る室内履きの聖地です。 明治時代農業が盛んな河北町では稲わらを使った草履づくりが盛んでした。そんな中、村役人の田宮五郎氏が草履の圧搾機械を発明し、草履作りにイノベーションをおこし、生産量が伸びたことで草履作りが地場産業として発展し地域に根差すことになったそうです。 以前製造されていた草履、歴史を感じます。 昭和に入り草履を使うことが減り、河北町の製造元は草履からスリッパ製造に移行し、日本一のスリッパ産地に成長していきました。国産のスリッパといえば山形県の河北町。ここにはスリッパをはじめ室内履きの心地よさや丈夫さのノウハウが詰まっていると阿部社長は言います。 同じようなスリッパに見えても、素材・クッション・形状・製造方法の細部に工夫を凝らすことで履き心地・使い心地に違いが出るそうです。このあたりが日本製の魅力のひとつと言えますね。 とはいえ、安価な輸入スリッパの増加と共に産地は打撃を受け、最盛期25社あった製造元も現在では片手で数えるほどの数社に激減してしまいました。 そうした背景から最近では安価な輸入スリッパと品質やこだわりの違いを伝えるべく、山形県スリッパ工業組合が「かほくスリッパ」として地域ブランド化を進められています。 その中心が阿部産業の阿部社長。「かほくスリッパ」のブランド化を推進されています。 生き残りをかけた戦い 2007年頃、工業技術センターを通してつながりを得た方々と共に自社のオリジナルの商品を開発・販売を開始されました。 阿部産業さんの歴史も河北町のスリッパの歴史とほぼ同じで、100年以上の老舗です。古くから問屋さんからのお仕事を中心にされてきました。 自社商品を開発する以前は、作った商品は問屋さんに販売されて、問屋さんが百貨店や小売店に販売してこられました。つまりその商品の製造は阿部産業さんではありますが、阿部産業さんの名前が表に出ることはありません。 安価な輸入スリッパが増え、製造元としてはなんとかして生き残らないといけない。技術を売る商売から、名前を売る商売に変わる必要があったということですね。 そうすればもちろんこれまで取引されてきた問屋さんとは摩擦が生じる部分もあります。実際にそうした問題も少しあったようです。。 最初の一歩 阿部社長と専務(奥様)お二人、阿部社長が慎重派で専務である奥様が積極派らしいです。 最初に自社商品・ブランドの開発の話になった時も、専務の後押しがあり、一歩踏み出すことができたそうです。お話をさせていただいていても、とてもバランスの良いお二人でいらっしゃいます。 実はこの一歩が出るかどうかがとても大事で、老舗企業であればなおさら難しい。ですが、河北町には元々草履からスリッパと変化に対応して成功してきた歴史があることからもわかるようにイノベーション気質はあったのかもしれません。 これまで社内にノウハウがないことで自社商品・ブランドづくりの取り組み方がわからないなどは障壁になりますが、実はこの決断をする際に心強い協力者が近くにいることはとても大事なのかもしれません。 柔軟な阿部社長の人柄 今回取材をさせていただき感じたことは阿部社長の素直でまっすぐなお人柄でした。 2007年にスタートした阿部産業さんの自社商品開発のプロジェクト。最初は社外の方のアドバイスを受けながら「KINU HAKI」という商品を開発されました。 最高級の絹を用い、米沢織りの袴地を「たたむ・仕舞う・携える」をコンセプトで作られた室内履きです。 こうした取り組みを始められるとき難しいのは、経営者が社外の方と協働するときうまくいくかという点があります。 問屋さん向けの商売をされていた製造元さんが、自社だけで商品開発・ブランド開発をすることはなかなか難しいものです。 そこで外部のデザイナーやプロデューサーと協働することがあるのですが、これまでの考え方から変わることができない経営者の場合、これまでの商品づくりの流れ・考え方と違った意見をスムーズに聞き入れることができず、チグハグな結果となってしまうこともよくあります。 その点、阿部社長はとてもスムーズにアドバイスを取り入れ自社商品開発に取り組まれてきたようにお聞きしました。 満を辞して2009年にリリースされた「KINU HAKI」はグッドデザイン賞 日本商工会議所会頭賞を受賞し、山形エクセレントデザイン賞も受賞されました。 通常のスリッパからすると価格は数倍するKINU HAKI。今でもコンスタントに売れ続けていると言います。もし阿部社長がそれ以前の感覚のままで取り組まれていれば、生まれなかった商品。 必要なのは会社のブランディング 「ABE HOME SHOES」は「家に帰ったら、ゆったりとした時間を過ごしてほしい」との想いから生まれたブランドです。 KINU HAKIのように、自社商品を開発して販売することは、それまでの技術を売るから名前を売るというステップには適していましたが、作り手の想いを使い手に届けることは難しい。 会社として、より想いに沿ったブランディングを行い、将来的にも様々なビジョンを描き進めていくには、自社ブランドを立ち上げ育てていくことが必要だと考えられたそうです。 そして2009年のKINU HAKIから約10年の期間を経て、自社ブランド「ABE HOME SHOES」が誕生しました。 ファクトリーブランドだからこそ実現できる要素が取り込まれた「ABE HOME SHOES」第一弾は「帆布バブーシュ」。履き心地や細部へのこだわりが詰まった室内履きとして、すでに阿部産業さんの中でも大きな役割を担う存在となっていると言います。 製造現場「型抜き」 さて、ここからは歴史とノウハウが詰まったスリッパ・バブーシュ、室内履きの製造現場を紹介させていただきます。 まずは型抜き工程です。型抜きとはスリッパ・バブーシュに必要な生地をプレスの機械で型を使って切り抜いていくことです。 阿部産業さんではこれまでOEMなども沢山されてこられています。商品ごとに型がことなるため型は相当な数になっているそうです。しかも、一足のスリッパやバブーシュを作るための型は3〜5型ほどの数が必要なのです。 吊り込みと外縫い 製造現場を拝見しているとスリッパの製造方法がふたつあることがわかります。 ひとつは「吊り込み」と言われる型を使って甲部分を熱で接着する方法。もうひとつは型は使わず、甲部分をはじめ全体を縫製で仕上げる方法です。 吊り込み式はいわゆるTHEスリッパといった形状で、イメージとしては体育館など公共施設や企業で使用されていることが多いです。 外縫いについては、ご自宅用のスリッパとしてよく見かけるイメージで、様々な加工・素材の変更が可能で、デザイン性に優れたものが多い印象です。 阿部産業さんでは最近ではほぼ外縫いが中心になっていますが、吊り込みスリッパの製造ももちろん沢山されております。 吊り込み式スリッパの製造 吊り込み式は接着に型を使うことと、形を作っていく工程に接着が多いのが特徴。 まず土台となる素材部分に接着糊をつけ 甲部分と共に高温に熱くなった型にはめて ガシャンと型で圧と熱をかけます。 このあと熱くなったスリッパを別の型で冷やして甲部分は完成。あとは足裏部分とと地面に接する底部分を接着して吊り込み式スリッパの完成です。 ひとつ作るのに熱い型と冷たい型2台使用するので沢山の機会が並んでいます。吊り込みの需要が多かった以前よりも台数はかなり減ったそうです。 外縫いスリッパの製造 外縫いスリッパの場合はまず足裏にあたる部分のクッションと生地を決めます。素材選びも大切で使う生地の厚さや性質で最適なクッション材を使うそうです。 足裏部分と甲部分を縫製していきます。孤を描きながら、筒状にするので難しいはずなのですが、不思議なほどスムーズに縫製されていきます。まさに熟練の技術。 次のスリッパの縁部分の素材を縫製していきます。 これで足裏から甲部分までは完成です。 ここから底にあたる部分なのですが、ここでも履き心地へのこだわりとノウハウが詰まっています。 これは地面に接する素材と足裏部分の間にある層で縁の生地に隠れて見えない部分。このスリッパの場合は快適な履き心地のスリッパとなるように、素材を変えつつかかとの部分のみが3層構造になっています。 そして最後に中材と地面に接するスリッパ底部分と甲部分を全てを縫製でつなぎ合わせ、外縫いスリッパが完成します。 バブーシュの製造 阿部産業さんではバブーシュもOEM含め様々な素材で製造されています。基本的にはバブーシュの製造工程は同様ですので、ここでご説明する工程は帆布バブーシュ も同様となります。 まず足の甲の部分とかかとの生地を縫製でつなぎます。 次に地面に接するバブーシュの底部分と甲の部分を縫製でつなぎます。 繋ぐとこうなります。あれ?と思いませんか。底の部分が内側にきています。この段階では全体が裏返しで縫製していくのです。 この次に足裏にあたる面を縫製します。ここでは裏返しするため&クッション材をいれるために少しだけ縫製せず残しておきます。 こんな風になります。 次に開けておいた穴を使ってひっくり返す。すると下の画像のようになるので、この穴から足裏のクッション材を入れていきます。 穴を閉じて。足を入れる部分からひっくり返すとバブーシュの完成です。 実はバブーシュのクッション材もかかと部分が3層構造の特殊な作りになっていて、履き心地の良さを追求しています。 そして形を整え 丁寧にアイロンもかけて美しく。 パッケージに入れて出荷されていきます。 阿部産業のものづくり スリッパ・バブーシュの製造、本当に沢山の手間と工数がかかっています。取材させていただくまではこれほどまでとは考えていませんでした。まさに丁寧な日本のものづくりですね。 手間をかけるだけでなく、確かな職人さんの技術と製造ノウハウ。全てが揃って初めて履き心地のいい上質なスリッパが完成します。 日本いいもの屋というお店をさせていただきながら言うのもおかしいのでかもしれませんが、「日本製だから良い」と言うわけではないと考えています。 日本のものづくりでも模倣もありますし、コストを抑えるために見えない部分の品質を落とすものもあります。またもちろん海外のものでも素晴らしい製品はあります ですが、阿部産業さんが追求される履き心地良さや丈夫さのように、購入時ではなく使用後にお客様を満足させていけるような、表面には表れない細部に宿るこだわりが日本のものづくりにはには沢山込められているのだと痛感しました。 使い手の皆様が「日本製だから良いんだ」と感じるぼんやりとした“良さ”の裏側にはこうした職人たちの技術とこだわりがあるのだと、そしてそれを価値として伝えていくことが私たちの役割なんだと再認識もさせていただきました。 スリッパ・バブーシュづくりに沢山の想いを込める阿部産業さんのものづくり、もちろん全てはここで伝えることはできませんが、少しは伝えることができたかと思います。 阿部産業の阿部社長、専務、お忙しい中取材へのご協力、そして丁寧にご案内くださいまして有難うございました! |
|
ABE HOME SHOESの商品一覧
帆布のバブーシュ
|
帆布草履
|
帆布バッグ BoxBag
|
さふら
|
帆布のバブーシュ ボアタイプ
|
ウールホームシューズ/ウールスリッパ
|
ウールのルームシューズ ハイカット+ボア
|