ブランド紹介
nucca / 山下陶苑

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nuccaではきれいに整った商品ではなく、職人の手仕事だからこそ生まれる少しの違い。 それを個性として削ぎ落としすぎず、商品から伝わるぬくもりを感じていただけるような ”ものづくり”をしています。 nucca(ぬっか)とは長崎の方言で暖かいという意味です。 |
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ものづくりへの愛が生む
波佐見焼の真の価値『山下陶苑』
波佐見焼の真の価値『山下陶苑』
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約400年もの間、私たちの生活を彩る陶器の産地として発展してきた波佐見町。 一時は衰退の危機にさらされながらも、歴史にとらわれないユニークな発想とデザインで各方面から注目を集めてきました。 ![]() 町内にある窯元の数は35以上。 陶磁器関連従事者は2,000人を超えるともいわれ、毎年開かれる「波佐見陶器まつり」には30万人以上の来場者が訪れます。 今回お邪魔したのは、数ある窯元が切磋琢磨するなかでひときわセンスの光る『山下陶苑』さん。 ![]() 分業制が基本である波佐見焼では珍しく、成形から絵付け、焼き上げまで自社で一貫した生産を行っている窯元です。 陶器の概念を超えるクリエイティブな商品にはいったいどんな秘密が詰まっているのか。 今回は、3代目・山下さんにお話をお聞きしました。 一貫生産は創造性の自由度を高める ![]() 山下陶苑は1984年創業。 町内の焼き物商社に勤めていた山下さんの父が独立して開業しました。 「山下陶苑ができたのは私が中学生の時でした。みかん畑を切り開いて、少しずつ工場が建っていく様子は今でも鮮明に思い出せます。父は独立前に、生地屋も窯元もどちらも経験しています。特殊なカタチの生地を作るのが得意で、布目や亀甲型など、他ではあまり見ない細工物の生地を作っていました」と山下さん。 ![]() 今でこそ一貫生産が強みの山下陶苑ですが、立ち上げ当初は大量生産が主流の時代だったため、生地は生地屋さんに頼み、社内では絵付けと焼きを行っていたそうです。 しかし、時代が進むに連れて、量産ではなく多品種の生産が求められるように。 これからは商品一つ一つの価値が問われる時代になると悟った山下陶苑は会社を大改造し、生地作りから焼き上げまで自社で行う生産形態に踏み出しました。 ![]() 「社内で一貫した生産を行うメリットはいくつかありますが、一番は自由度が高いことじゃないでしょうか。生地は生のまま加工できるので様々な型に挑戦できますし、色も細かいところまでこだわれる。会社が挑戦したいコンセプトをそのまま表現できることが、自社のものづくりの面白さを加速させているような気がします」 「個人的には生の生地に触れる時間が持てることも嬉しいですね。まるで大地に触れているように気持ち良くて、心が浄化されているような感覚は他の作業では味わえない良さだなと感じます」 ![]() 時代の流れに合わせ、多品種少量生産へと舵を切ったことが、どれほど重要だったかは言うまでもありません。 しかし、山下陶苑はこの一貫性を通じて、単なる焼き物製造の域を超え、まるで一つのアート作家のように存在感を強めてきました。 他では手に入らない唯一無二の作品を作り上げる。 その自由度の高さに、山下陶苑の商品が愛されている理由が見えてきます。 子どもの頃から変わらないのは“ものづくりへの愛” ![]() 父と兄に次いで、山下さんが3代目社長になったのは43歳のとき。 子どもの頃からとにかくものづくりや絵を描くことが大好きだったと、きらきらとした目で話してくださいました。 「小学校4年生のときスケッチ大会があったんです。隣にたまたま絵の上手い先輩が座っていたので、その人の絵を見ながら見よう見まねで描いていました。そしたらその絵が入選して壁に飾られて。周りから「すごいね」「上手だね」って言われたのが本当に嬉しかったんです。それから絵を描くことが楽しくなって、いつしか将来もそういう道に進みたいなと思うようになりました」 ![]() ものづくりの楽しさを知った山下さんは、デザイン科のある高校に進学しました。 この頃には家業である山下陶苑のデザイン部門に入りたいと考えていたそうで、高校卒業後は窯業大学に通って窯業の知識も学んでいきました。 「今でも、ものづくりがとにかく大好きなんです。焼きあがった焼き物を取り出す時の窯開けが一番ワクワクする作業で、何回経験してもその日は遠足の時みたいに自然と早い時間に目が覚めてしまいます(笑)」 子どもの頃に感じた喜びや興奮が、自分の未来を形作る大きな原点となった。 そんな山下さんが語る「ものづくりへの愛」に触れ、心が温かくなりました。 ものづくりへの愛は今でも同じように、いや、さらに熱を帯びて、生み出される商品の力になっているのです。 “ない”ものを作りだすことで新しい価値が生まれる ![]() ものづくりへの愛は子どもの頃から変わらないと話す山下さん。 社長になってからも商品開発やデザインを自ら手掛け、そのこだわりを表現したいとブランドの立ち上げを始めました。 ブランドのなかで手掛ける商品は、陶器の枠にはまらない探求心の詰まったものばかり。 例えば『nucca』シリーズは、生地・型・色・焼き上げまでを一貫して行っている山下陶苑の強みを全面に出したブランドです。 ![]() 「波佐見焼を買う人の多くは町外の人なので、波佐見焼らしさを持ちつつ、長崎発信のものを出したいなと思って『nucca』を作りました。世界に届いて欲しいので、カタチや色には相当こだわりました。商品名も長崎の方言である「ぬっか~(あつい、あたたかい)」から来てるんですよ!」 色展開はなんと12色。 ピンクや黄色、グリーンなど、陶器では珍しいパステルカラーがとても可愛いブランドです。 さらに、色付けのために釉薬を使うという方法さえも打ちこわし、土に色を練り込むという新しい技術が光ります。 ![]() 「最初は6色くらいで考えていたんですけど、作っているうちに楽しくなって12色に増やしました。陶器でここまで色を選べる商品は少ないので、色を選べる技術も楽しんでいただければと思います。また、陶器の光沢ある質感を抑え、マットな質感に仕上げました。どの角度から見ても裏表のない美しさを楽しめるので、インテリアとして手に取って欲しいなと思います」 ![]() また、これから発売に向けて進んでいくという、注目の新商品についても話してくださいました。 ![]() 「お茶屋さんと話していたとき『従来の急須では、網のなかで茶葉が上手く広がらないんですよね』と相談を受けたんです。だから、最後の一滴まで美味しく飲める急須を開発しました。これまでの急須の概念を覆さなくてはいけなかったので難しかったですが、急須本体と網の形状を研究し続けて、網を張り付けるという方法を編み出しました。陶器屋なのに、この商品を開発する時間のほとんどはずーっと網の設計を考えていたんですよ(笑)」 急須のカタチはもちろんですが、網に使える金具を探し、網目のサイズや貼り付け方を何度も何度も試行錯誤したという山下さん。 これが私がはまるものづくりの楽しさなんだと話してくださいました。 ![]() 「ものづくりで一番楽しいのは、“ない”ものを新しく生み出す過程です。私にとって陶器は、何にでも挑戦できるツールのようなものなのかもしれません。歴史ある波佐見焼だからといって歴史だけを継承する必要はなくて、この陶器でどれだけ新しく、面白いものを生み出せるかが大きなモチベーションになっています」 山下さんが語るように、新しい価値を創造することこそ、ものづくりの本質であり、最も魅力的な部分なんだと思います。 ![]() こだわりとは、単に物を作るだけではなく、どれだけ自分の思いを形にできるかを追求する行為そのもの。 特に『nucca』シリーズの、波佐見焼という伝統的な枠を超えて、色や形に自由を持たせるスタンスは、まさに山下陶苑のこだわりと言えるでしょう。 変化するものづくりの価値。山下陶苑のこれから ![]() 一貫生産が強みの山下陶苑ですが、生地や型、絵付けなど、それぞれ工程を社内で分業しているわけではなく、職人さんたちはいくつもの工程を兼業して作業しているそうです。 役割を決めすぎないこの形態が、ものづくりのクリエイティブさに良い影響を与えているのだとか。 ![]() ![]() 「社内では、誰もが枠を超えて作業に関われるような業務形態をとっています。経験の有無や得意不得意に関わらず「今度のイベントで出すアクセサリーのデザインをやってみない?」「次の商品の開発を一緒にやらないか?」と、声をかけるようにしているんです。やりたいと思う気持ちが少しでもあるなら、この場を使っていくらでも挑戦して欲しいな」 ![]() 「山下陶苑には、陶器を使って0からものづくりに挑戦できる環境が整っています。私のようにものづくりが大好きな人が集まって探求心を持ち、一緒に遊ぶように商品開発をしていけるような会社にしたいな。ただ陶器会社に入るという感覚じゃなくて、自分の作りたいものやこだわりを持っているような人たちにどんどん関わって欲しいです」 ![]() 世界から注目されるようになった波佐見焼も、売り上げや生産高でみると近年は減少傾向にあります。 これは日本の伝統工芸品に多く見られることで、衰退の原因には日本人のライフスタイルの変化や、時代による消費の変化が考えられるそうです。 最後に、山下陶苑のこれからについての想いをお聞きしました。 「私たちの会社も人手不足であるように、波佐見焼の関係人口も減り続けています。人手が足りないせいで出張に行く人員がいなくなり、マーケティングが全く進んでいない。波佐見焼自体がこれ以上何をやっていいかわからないという、頭打ちの状態になってしまっているんじゃないかと危惧しています」 ![]() 「もの自体がたくさん作れない状況になっている今、一つのものにどれだけの希少価値を付けられるかを考えていく必要があると思います。この世にまだ“ない”ものを作り出す山下陶苑の強みを武器に、これからもものづくりの楽しさを忘れずにクリエイティブな商品を打ち出していきたいです」 ![]() 情報が溢れ、ものづくりの価値が刻一刻と変化していくこの時代。 必要とされるのは流行に乗ることではなく、ものの在り方の本質を考えていくことなのかもしれません。 ものづくりの楽しさを追求する山下陶苑は、この時代にどんなものを残していくのか。 今後の活躍にも注目が高まります。 |
nuccaの製造元山下陶苑紹介ムービー
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