ブランド紹介
輪島キリモト
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輪島塗りで有名な輪島で昭和のはじめに木地屋を創業。 古くから木地業を営んでいた輪島キリモト。 そんな中で桐本家7代目の桐本泰一氏は、 新たな技法や発想で輪島キリモトに新たな風を吹き込みます。 能登半島の先端という立地ながらも、 30~40才代の力ある職人さん達とともに常識を覆す製品を生み出し、 漆が今に暮らしにとけ込むような可能性に挑戦し続けています。 |
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輪島という場所
能登半島の北端に位置する輪島。 交通の便は正直いって良くない。そんな場所だからこそ輪島にはいまも古くからの風情が残っています。 リヤカーを押した行商さんがいたりもします 朝にはこの道で有名な輪島の朝市があります そして町のあちこちには漆器屋さんがあり、それぞれが何百年何十年と商売を続けている伝統あるお店。さすがは輪島という印象をうける街並みです。 今回はそんな輪島で「漆器をくらしに」コンセプトに漆器に新しい風を起こし続ける輪島キリモトさんにお時間をいただき取材をさせていただきました。 輪島キリモトの歴史 輪島の漆器と言えば平安時代まで歴史は遡りますが、現在の輪島塗が確立したのは江戸時代とされています。伝統工芸品に指定の「輪島塗」と名乗るためにはいくつかの要件を満たしている必要があります。 例えば ・布着せ(縁や内側の底などに布を張り補強する事)をしているか ・漆に輪島地の粉が使われているか などなど、すべてを満たして初めて「輪島塗」が名乗れます。「輪島の漆器」と「輪島塗」との違いはこの要件にあります。 輪島塗は古くから各工程を分業して成り立ってきました。工程は主に木地・塗師・加飾に分けられます。そしてそれらをまとめる塗師屋といういわゆるプロデューサー的な役割がいてそれぞれが分業体制です。 輪島キリモトではその「木地」、つまり木材から器や品の形状を作り出す木地屋を生業としていました。木の性質や特徴を知る尽くし、その加工技術は同業者からも一目置かれるほどのものをもっています。 輪島キリモト(一階)の様子、木地を作る機械が沢山 長年輪島塗の木地を担当し輪島塗を支えてきた輪島キリモト。しかし、産地輪島そして漆器の未来に危惧覚えた7代目桐本泰一さんは輪島塗のため、漆器の未来のため、この長年続いてきた輪島の分業体制に新しい風を取り入れたのです。 新しい風 現在、輪島キリモトは7代目の桐本泰一さんを中心としている。その人柄と漆器への情熱は、彼と会った人の記憶に鮮烈に残ります。私自身も同様に強く印象に残りその言葉ひとつひとつに重みを感じました。本気で変えようとする人ってこんなひとなんだな、と。 右の方が桐本さん、左は塗りの職人さん 桐本さんは輪島キリモトを継ぐ以前は大学でデザインを学び就職後もオフィスプランニングなどデザイン方面で活躍していました。7代目を継いだ桐本さんは職人従事者の減少や伝統工芸産業の衰退を目の当たりにし、これまで通り木地業だけを続ける事に不安を抱いたそうです。事実漆器は利用する人が減っている、本当はくらしの中で活きる高機能なものなのに。 そこで大胆にも輪島キリモト自身がメーカーとなり、自社で漆器を一貫生産し販売する体制へと大きく舵をきったのです。その根底には「漆を今の暮らし、ライフスタイルに再び馴染ませる」という強い想いがあります。それを実現すべく、これまで学んだデザインの知識や能力を使い、現代まで築き上げられてきた輪島塗の技法やデザインにあらたな風を次々と吹き込みました。 蒔地技法 -makiji- 布着せを行った後、輪島地の粉(珪藻土を焼成粉末にしたもの)を表面に蒔き、漆を塗り込む。表面が少し凹凸を持ち、傷のつきにくい仕上げになる。この技法は桐本さんが開発した代表的な技法。まさに日々暮らしの中で使うための漆器といえるものです。 朝ドラの「まれ」では輪島が舞台になっておりますが、「蒔地」が詳細に紹介され新たな漆器として注目を浴びています。 箸に蒔地技法を施せば丈夫な上にとても使いやすい 器に蒔地技法を施せばスプーンやフォークも使える器に この蒔地技法 布みせ技法 テーブルなどの天板に使うことが多い布みせ技法、こちらも独自の技法です。布を張り、その上に漆を塗る。表面には布の風合いが残り、厚みのある仕上げになるというものです。高級料亭のテーブルなどに使われています。物静かながら存在感のある仕上がりになります。 布みせ仕上げの仕事風景 逆風 これまででは考えられなかった、輪島での漆器一貫生産体制や新たな技法やデザインを提案したため周囲から厳しい視線や指摘を受ける事もあったそうです。現在の結果だけをみると技法として確立しているためその苦労は見えませんが、伝統工芸の産地というのはなかなか新しい風を受け入れにくいものです。おそらく私たちには想像できない不安や、苦労をされたのだと桐本さんの言葉からは感じられました。 輪島キリモトからの風景 しかし、そんな声も桐本さんの想いから生じるの求心力には敵いませんでした。それができたのは桐本さんが良い意味で純粋な職人ではなかったからではないかと思います。一般企業に就職し外を見た上で輪島に戻ってきた、だからこそ見えたものがあった。伝統を守るのではなく伝統を時代に沿って進化させることが生きる道だということを。生み出された技法やデザインを知るほど桐本さんの「漆を今の暮らしに・・・」というブレない想いが全ての根幹にあることが分かります。 漆器への間違ったイメージ 漆器は全てが天然の素材。環境に優しくまさに現代に求められるもの。さらにご存知ですか。漆には抗菌・滅菌作用があり、また保温効果もある。あまり知られていませんが素晴らしい特徴がたくさんあるのです。 対して多くの方が持つ漆のイメージは「扱いにくい」「かぶれる」といったもの。全て誤解です、あまりに真逆で悲しくなるほど。 生の漆はかぶれることがありますが、漆器として販売する段階ではしっかり乾燥させています。使ってかぶれることはありません。 漆器は「育てる器」と言われます。日々使うことが一番のメンテナンスになります。そして少しづつ変化していく、そんな経年変化の愉しみという面もあります。実はあまり難しく考えず使っていただける器なんです。 左が5年始用後、右が新品 この漆器への間違ったイメージが桐本さんを燃えさせたもうひとつの要素だったようです。 本能が求める素材 スポンジを使って洗剤で洗え、完成品の漆器ではかぶれる事はなく、小さな漆器は古くから赤ちゃんの歯固めに使われるほど、安心安全な塗料なのです。 こんな話を桐本さんから聞きました。漆器と他の素材の器を比較して使ってもらい「どちらが好きですか?」と聞いた時、子供はほぼ全てが漆器を選ぶそうです。 つまり、本来「人」が求める良さが漆器にはあると言うことなのです。しかし、大人になるまで「いいもの」にあまり触れず生活をしていくとその本来持っている感性を失い「いいもの」がわからなくなってしまう。 だから悲しいかな大人に同じ検証をすると、割合が大きく下がるそうです。 漆を暮らしに 安心・安全だけでなく、本能が求める素材「漆」。そして修理・塗り直しも出来る。一生、いや何世代にも渡り受け継ぐ事さえ可能です。 塗りの様子 漆は、現代にも十分適応でき、むしろ見直されるべきだと桐本さんは言います。そして漆の本当の良さを伝えるべく日々伝道師としての役割もこなし、日々日本中で精力的に活動を続けています。今後も輪島キリモトから生み出される商品だけでなく、どんな技法やデザインが生み出されるか本当に楽しみです。 最後に、輪島に訪問した際、目に止まったのれんにこんな言葉が書いてありました。 「おばあちゃん買うた器を孫が継ぐなんて素敵やわいね」 本当に素敵なことだと思います。そんな日本の漆器文化を改めてしっかりと考えるべきなんだと輪島キリモトさんを訪問、取材させていただき最も感じました。 桐本さん、輪島キリモトの職人さん方、取材にご協力いただき本当に有難うございました。 | 製造元紹介ムービー | |
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輪島キリモトの商品一覧
漆のコーヒーカップ
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蒔地仕上げの楕円箸
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箸置「輪」 拭漆仕上げ
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あすなろのBENTO-BAKO
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漆塗のマグカップ
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